荒磯には巨魚に魅せられた男たちが似合う。大物師は険しい岩肌を何度も行き来し、総重量200キロの荷を絶海の磯に運び込む。見えない巨魚との駆け引きはすでに始まり、おびき出しから取り込みまでのシナリオを組み立てる。
日没のころ、剛竿を4本のロープで止めすべての準備を終えた。そうやってアーラミーバイ(ヤイトハタ)が訪れる潮止まりを待つのである。
3日、大物師で知られる照喜名功一さんは辺戸岬に入った。彼が釣り上げた20キロ以上のアーラは優に30匹を超える。それでも「運が釣らせる」というほどアーラは難しい。予想するヒットタイムは午前8時からの潮止まり。この釣りの勝負は最初の数秒で決まってしまう。
気を集中していると、大ハンマーを振り下ろしたような衝撃が竿を襲った。照喜名さんの身体は瞬時に反応し機先を制することに成功した。しかし想定外、浮かせたアーラから針がはずれポカンと波間に漂うではないか。小物確保に用意した振り出し竿に針をセットし、引っ掛けて磯に下りた。冷や汗もののアーラは128センチ、39キロであった。
余談だが、アーラはツガイで行動するといわれる。雌が釣れると後を追うように雄が釣れることはよくあるのだが、その逆はないと漁師は言い切る。
【各地の釣果】
◎辺野古沖に尾長グレ
釣趣もさわやかに高級魚が釣れ盛る太平洋岸。ミドル天秤(てんびん)釣りで尾長グレが釣れだした。3日、砂辺さんのグループは午前中にグルクンを釣って土産を確保した後、ジュゴンの藻場が広がる辺野古沖80メートルへ移動。45センチ前後の尾長グレを8匹キープすることできた。釣り船大和090(1944)0327。
◎屋我地大ガーラ回遊
8月に入り屋我地の水路で大ガーラの目撃情報が相次いでいる。7月30日、運天原に浮かぶ嶺井水産の養殖イカダでは、養殖魚のストレス回避のためにガーラ退治が行われた。結果、19キロと15キロを仕留めたが、120号ハリスでも止められない50キロ級のガーラが姿をみせた。その魚、「口元に大きな釣り針が5本ぐらいついていた」とか。
◎西崎でガーラ12キロ
糸満市西崎にあるモクマオウというポイントでは、6月の終わりごろから10キロ級のガーラが目撃されていた。神出鬼没に現れては挑戦者を翻弄(ほんろう)し、ラインシステムを破壊させていったという。それなのに3日、2年ぶりに釣りを再開した外間勉さんは、同釣り場にたまたま入り、いとも簡単に12キロを釣ってしまった。
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(新報アングラーズペンクラブ・佐久川政一郎)
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