【交差点】外国人との遭遇


社会
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 4月3日、4代目の駐在員として赴任、家族5人での香港入りである。香港での初めての買い物の折、運悪くわが子の足元で商品のコップが割れた。広東語で責め立てる店員に、英語の話せない妻は知る限りの英単語の羅列と日本語で容赦なく応酬、ついには謝罪させてしまった。こういう場面では、一事が万事、私の出番はない。
 さて、ここ香港は言わずとも知れた国際都市であるが、日常語は広東語で英語を流ちょうに話すのはある程度教育を受けた人に限られる。それでも客商売をしている方は「中で食べる(Stay here?)」とか「持ち帰る(Take away?)」など必要最低限の英語は使うし、あとは英単語と写真付きメニューなどを指さして済ます。
 振り返り、わが沖縄はどうだろうか。外国人との遭遇という「不測」の事態に備えているだろうか。多くの外国人が訪れるようになると、いつ、どこで話し掛けられるか分からない。そういうとき、正しい英語は必ずしも重要ではない。引き出しからありったけの英単語を引っ張り出し、身ぶり手ぶりで日本語を駆使すればよい。外国人を見て隠れず、“I can’t speak English”で逃げず、勇気を持って話そう。これが国際化の第一歩である。そもそも、われわれ一般の県民に正しい英語など期待していないのだ。
(宮城石(つよし)・沖縄県産業振興公社香港事務所長)