【チャイナ網路】「死ね死ね団」の実態


社会
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 今年のバレンタインデー。デートスポットとして有名な淡水に、奇妙な若者の集団が現れた。掲げた横断幕には、「去死!」(死ね)の文字。カップルにちょっかいを出し、恋とは縁遠い自分たちのウサを晴らす、その名も「去死去死団」(死ね死ね団)だ。
 この団体、実は日本のマンガ「行け!稲中卓球部」に出てくるキャラクターから生まれたもの。本来は着ぐるみ姿でパンダ形遊具にまたがる、脱力系“悪の集団”なのだ。このキャラクターが今アジアで大ブレ―ク。特に台湾に熱狂的ファンが多い。
 設立のきっかけは、ネット上のゲームサイトで、話題になったことだった。日本のアニメやゲームの影響を受けて生まれた「KUSO文化」の一現象。内容は吸収の過程で再解釈されている。言ってみれば、台湾版オタク文化だ。
 名こそ過激だが、なにしろ存在自体がギャグのようなもの。「あなたっていい人なんだけど…」と言って振られたと、メンバーがTシャツに書いた「いい人」の文字のように、開き直ってはいるものの、どこか優しく、やるせない。
(渡辺ゆきこ、本紙嘱託・沖縄大学助教授)