【交差点】大連の花見


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 大連のゴールデンウイーク(労働節)期間中はまだ肌寒い日もあり風も吹く。桜の開花は日本の約1カ月遅れでやってくる。
 大連市旅順口区は中国国内で最も多く桜が植えられている。特に龍王塘公園には大正13年に日本人が建設したダムがあり、その周辺に樹齢100余年の老木を含めた1500本の桜が開花する。この時期だけ対外開放されるから、私たち在連者は大連日本商工会が募るバスに乗って花見に出掛ける。203高地の入り口にも、かつて旧東北地区に住んでいた日本の団体が寄贈した桜園があり1500本の桜が咲く。
 大連市内にある大連ソフトウエアパーク前庭の芝生には、2メートルほどの若木が50本植えられていて、村山富市元総理大臣が揮毫(きごう)した「桜の園」の記念碑がある。東北財形大学のキャンパスにも日本政府関係者が寄贈した若木100本ほどが植えられている。「中日観光交流年」の今年、日本の国交省などが主催するフォトコンテトが実施され、桜がほころび、こいのぼりが泳ぐキャンパス内の特設会場で、日本から経済産業省副大臣が来連して開催のあいさつをした。
 私が住む大連開発区にある小高い丘にも桜の若木が500本びっしりと植えられている。展望台に登り満開の桜を見下ろしていたら、一陣の風がやってきてピンクの層が流れ広がっていく。
 そのほかにも市内や郊外には大連に進出している日本企業の贈呈や、青年団体が来連して植樹した桜園があり、いずれにも中日の友好を祈念して記念碑が建てられている。今年も私たちはゴールデンウイークに旅順に出掛けて、ひんやりとした大気の中で咲く友好の桜を、込み合う中国人の花見客に交じって楽しんだ。
 (池宮城克子・大連外国語学院講師、ウチナー民間大使)