世相を表す漢字に『変』が選ばれた。フィッシングシーンを振り返っても、至る所に『変』は潜んでいた気がする。「釣れる潮が逆になった」とベテランが戸惑い、「釣れる時期や魚種が変わった」と青年は悩んだ。だから釣り雑誌は面白くなり、定石にしがみつかず、状況に柔軟に応じた者が良い釣果を手にすることができたと書いた。
17日、シーランド宜野湾店の上原光さんは、ガーラの目撃情報を頼りに座間味南の奥武の6番磯に渡った。振り出し式イシダイ竿(ざお)に18号ハリスという、泳がせ釣りとしては軽量のタックルに釣ったグルクンを掛けた。大物の気配がみなぎるだけに、グルクンは逆流を渡り切り足元に逃げ帰って来る。再投入で繰り返し潮にもまれるグルクンはすぐに果て、クルクルと回って釣りにならない。
上原さんはグルクンを回収して腹にオモリを詰め、再び激流に放り込んだ。グルクンは水流の中でバランスを取り回らなくなった。
10分後の午前11時。グルクンをひとのみにした魚体が激しく水面を裂き水柱を上げた。魚は逃れようと荒々しく頭を振り、タックルを限界まで追い詰めた。釣り人は磯際まで引きずり出され、黒々とした深い海底を前に足がすくみ恐怖を覚えた。だがここで、釣りの現場でたたき上げられた男は腹を決めた。「捕らずに帰れない」。躍動する銀鱗(ぎんりん)がはじき返す陽光を受けながら、上原さんは満身の力と細心の注意で、自己記録更新の127センチ、26・4キロのロウニンアジを引き寄せた。
【各地の釣果】
◎泡瀬一文字タマン安定
人気の釣り糸「バリバス」のフィールドテスターをしている上當淳さんの狙いは、1年を通して大型タマンというシンプルなもの。昨年は60センチを超えるものだけで40匹余を釣り、50センチ未満の約50匹はリリースした。ここ3週は泡瀬一文字に通い、そのたびに60センチオーバーを手にしている。
◎古宇利沖アーラ38キロ
21日、知念太志さんは釣り船「第一大盛丸」で古宇利曽根を攻めた。しかし思うように釣れず、大物用の餌の確保に出したフカセ竿も不振を極めた。仕方なく唯一の釣果であった40センチのトカジャーを針に掛けてみた。するとすぐさま135センチ、37・5キロのアーラミーバイがヒットしたという。
◎イカ活性各地で2キロ超
1年魚のイカは就餌する力の差で著しく体格が異なるが、このところどこの海岸線でも2キロ級が乗るようになった。西崎では大城幸広さんが10日以来大型を連発で乗せ、11日は2・2キロをキャッチした。
読者の皆さま、情報を提供してくださった皆さま、今年1年間、当コーナーにお付き合いいただきありがとうございました。年末年始もどうぞ良い釣りを。
(新報アングラーズペンクラブ・佐久川政一郎)