【交差点】村上ファンドきたる


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 日本で投資顧問業の廃業届を提出した村上ファンドのシンガポール移転はシンガポールのファイナンシャル紙でも大きく取り上げられている。日本では法整備からの逃避などと書かれたり、あまりいいイメージで報道されていないように感じたが、村上ファンド側はシンガポール紙に対して今回のシンガポールへの本社移転について、アジア地域、特にインドなどの急成長市場への投資の窓口としてシンガポールに拠点を移したとコメントしている。確かに世界的、特にアジアへの積極的な投資活動をするのならシンガポールに拠点を移すのは不思議な事ではないし、実際に投資環境、人材、法整備、優遇税等のさまざまな理由で多くの日欧米投資家がシンガポールに拠点を置いている。村上氏がどのような思惑でシンガポールに拠点を移したかは私には分からないし、興味もないが、朝刊を開いて、いきなりシンガポールの一等地に約1000万USドルのペントハウス購入の文字が目に入ると「やってくれるな」というような感じである。今や世界中で投資ブームの中、時代遅れなのかもしれないが、私は、自分の会社以外には投資をしたことが無い。他社の株を買う興味も無ければ、使い道に困った金も無い、他社の業績を入念に調べる時間も無ければ、知識も無い。これまで、サラリーマン時代にコツコツ貯蓄した金は会社設立時にほとんど資本金としたし、投資をするのなら、上場企業などでなく自分の会社、ゼロから作りあげる会社、面白いプロジェクトなどに参加しながら投資したいと考えている。大物投資家の動向など私には無縁なのだが、運用額や規模が大きいだけにシンガポール経済に少しでも好影響を与えてくれるのなら喜ばしいことではある。
(遠山光一郎・シンガポール現地法人社長)