【チャイナ網路】娘婿という地雷


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 就任6周年となった5月20日。陳水扁総統は娘婿で医師の趙建銘氏(33)のインサイダー取引疑惑に対し、謝罪した。昨年の官房副長官の収賄疑惑から、最近の夫人の収賄疑惑まで、身内は不祥事続き。ついに司直の手が家族に伸びる事態に、政権は最大の危機を迎えている。
 事の始まりは、昨年7月。証券会社を通し、「台湾土地開発信託公司」のインサイダー情報を手に入れた趙氏は、当時紙屑(くず)同然だった株を母親名義で大量に購入。巨額の利益を上げた疑いだ。趙氏は25日、身柄を拘束されている。
 かねて総統には、身内に甘いという批判があった。娘婿は結婚前から公用車を乗り回し、政府人事にまで口を出す夫人は株転がしが趣味。“第一家庭”としてのモラルを強く求められていたところに、降ってわいた不祥事だった。
 総統は24日夜、「法の前には誰もが平等」とコメントし、捜査には一切干渉しない決意を示した。厳しく対処できれば、起死回生の可能性もなくはない。が、インサイダー取引の立件率は、わずか1%。今後の行方を疑問視する見方は強い。
(渡辺ゆきこ、本紙嘱託・沖縄大学助教授)