【チャイナ網路】直行拡大の意味


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 中国と台湾当局は14日、中台間を結ぶ直行チャーター便を、旧正月限定から、清明、端午、中秋を加えた4大節句に拡大すると発表した。中国工場建設のための機材輸送や救急救助用のチャーター便も運行開始。ほぼ絶望視されてきた中台間の合意形成に、突然降ってわいた大進展だった。
 もっとも経済効果への期待は高くない。清明節と端午節は、大陸では平日。工場の機材も船での運搬が一般的だ。患者の緊急搬送は年約250回と少なくないが、チャーター費用は高く、数は望めない。台湾が最も望むのは、航空貨物の直行だ。急激な経済発展の一方で、遅れが目立つ中国の航空運輸業界。中国に進出したIT業界のいらだちは濃い。もし、ここに台湾の航空業界が参入し、輸出業務を担えるとすれば…台湾経済の再浮上は、約束されたも同然だ。
 実質的な意義よりも、未来への希望をつないだ今回の合意。がけっぷちの陳水扁政権に塩を送った形だが、実は胡錦濤主席の新方針という見方がある。「独立阻止には、800発のミサイルより、中国への期待と依存」ワシントン・ポストはそう分析している。
(渡辺ゆきこ、本紙嘱託・沖縄大学助教授)