【交差点】少年サッカー


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 毎週土曜日は息子のサッカーチームでコーチをしている。幼稚園児から中学生までの日本人中心のチームだ。はじめは息子だけを入れるつもりが、お母さま方に取り囲まれ、乗せられ脅され、いつの間にか引き受けることになってしまった。香港には、日本人の少年サッカーチームが3チームあり、なかでも我がドラゴンシューターズは「土」にこだわった泥臭いチームだ。
 ここでは、公園や学校のグラウンドは人工芝かコンクリートに線引きしただけというのがほとんど。聞くと、天然芝は維持費がかかるとのこと。息子の通う日本人学校に至っては運動場すらない。土地の狭い香港では仕方のないことかもしれないが、日本人の親としては我が子がふびんでしょうがない。そこで、週末だけでも土にまみれ思い切り暴れさせたいと思うのが親心だ。
 そのような環境だからこそ、親たちの協力は欠かせない。数少ない天然芝コートを確保すべく早朝5時から列を作るし、自家用車を持つ人が少ないので、試合にはバスもチャーターする。
 9月になると香港は新学期。日本では体験できない国際色豊かなリーグ戦も始まる。W杯が消化不良に終わった分、我が子への期待も募る。小さな日本代表選手たちがどんな戦いを見せるのか今から楽しみである。
 (宮城石(つよし)・沖縄県産業振興公社香港事務所長)