【チャイナ網路】ポスト陳水扁の障害


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 先ごろ行われた世論調査で、過半数の有権者が「陳水扁総統は適任か?」という質問に「ノー」と答えた。民進党政権の支持率も、20%と史上最悪。陳政権に対する失望は深い。
 側近の汚職に始まり、妻や娘婿へと広がった身内の不祥事。総統の対応はあまりにも歯切れが悪すぎた。辞任を求める声は、支持者の中からも高いが、依然地位に恋々とする姿に、「政治的手腕は疑問だが、少なくとも清廉だった」という最後の“カード”まで消えつつある。
 では、なぜ党は総統在任を容認し続けるのか?実は副総統が原因だ、とする見方がある。従来副総統はお飾り的な存在だとされてきたが、呂秀蓮氏は“物言う副総統”。党の方針もどこ吹く風の爆弾発言で、度々物議をかもした人物だ。
 辞任すれば、残る2年近い任期を呂副総統が務める。現行政院長(首相)と相いれぬ氏が院長に指名するのは、国民党所属の王金平立法院長という公算が大きい。そうなれば、次期総統選後の政権維持は絶望的。最悪な陳総統だが、“呂総統”だけは勘弁してくれ、ということらしい。
(渡辺ゆきこ、本紙嘱託・沖縄大学助教授)