平良 驚異の逆転劇 第18回おきなわマラソン


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 第18回2010おきなわマラソン(主催・中部広域市町村圏事務組合、琉球新報社、沖縄テレビ放送、沖縄陸上競技協会、県総合運動公園指定管理者トラステック、共催・県、県教育委員会、県高校体育連盟)は7日、沖縄市の県総合運動公園を発着点に中部一円を巡る42・195キロで行われ、競技の部男子は平良長真(大宜味村)が2時間28分57秒で初優勝。

同女子は安里真梨子(豊見城市)が2時間45分29秒で3連覇を果たした。市民マラソンの部男子は与那嶺恭兵(宮古島市)が2時間30分49秒で、同女子は辰己りえ(那覇市)が3時間13分8秒でそれぞれ制した。

◆残り2キロ 一気賭け 「抜ける」見る見る猛追/平良
 ほんの数分前まで、誰も考えつかなかった結末が待ち受けていた。1位選手のはるか後ろにいたはずの平良長真(大宜味村)が、フィニッシュまで残り2キロを切り、驚異のラストスパート。競技場に着くとさらにスピードを上げ、トラックの入り口で一気に國武良真(福岡県)を抜き去った。会場の大きな歓声を受けながら、両手でガッツポーズをつくり、初の栄冠に輝くゴールテープを切った。
 前週は台湾・高雄国際マラソンに出場。邦人最高の5位と健闘したが、疲労が残り、足は重く「完走が目標。県勢で1位ならいい」と考えていた。しかし、35キロすぎまでくると「急に体が軽くなった」。この時点で順位は4位。「これだけ離されては無理だろう」とも思ったが、前のランナーが落ちてきた。
 残り2キロ付近で2位選手を抜くと、トップの姿がはるかかなたに見えてきた。「これは抜けるかも」と、得意の下り坂を利用してスピードを上げ、見る見る差を縮めた。さらに競技場では「(相手を)あきらめさせよう」と、いちかばちか、最後の力を振り絞って全速力に。思った通り、相手に戦える余力は残っていなかった。
 昨年からマラソンチームのウエルACに参加し、記録を着実に伸ばしている。12月のNAHAマラソンでも初優勝を果たし、「県内の2大会で勝てたのはうれしい」と喜ぶ。「体調が万全ならもっといけた」。すっかり自信をつけ、次に見据える先は2時間19分32秒を破る県新記録だ。(大城誠二)

◆安里苦悩克服V3 男子風よけに“巧走”
 女子を制した安里真梨子(豊見城市)。両手に3本の指を広げて史上初の3連覇を目いっぱいアピールしてゴールテープを切った。
 笑顔満開のゴールの陰には多くの苦悩があった。「正直言うと3連覇のことを考えるのは怖かった」と振り返った。大会前は周囲から多くの励ましがあった。だが安里の高い実力故に「優勝できるよ」と勝って当然のような言葉が多かった。「1月の大阪国際マラソンが終わってから調子が全然上がらなかった。左足の甲も痛めていた」
 2月半ばのNAGOハーフマラソン4日前からようやく走れる状態に。そのハーフも制して今大会に臨んだ。序盤、女子の先頭を走ったのは江崎由佳(福岡県)。だが安里は「コースを知っているから焦りはなかった」と、アップダウンの激しくなる中盤以降に足を残した。
 昨年同様、得意の勝連城跡付近の上り坂で江崎を抜き去ると、あとは独走。男子の集団を風よけに使うなど、したたかなレース運びで3連覇を飾った。
 「まさか3年連続とは。うれしいです」と笑顔を見せる安里。間もなく沖国大を卒業し県内で陸上競技を続ける。「県で活動して、結果を出す。そのさきがけになりたい」と県内女子陸上界を引っ張る決意だ。
(普久原裕南)

驚異の追い上げでおきなわマラソン初優勝を果たした平良長真=県総合運動公園陸上競技場
圧倒的な強さで史上初の3連覇を達成した安里真梨子(豊見城市)