【交差点】友人の選択


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 「希望行程」は農村やへき地の教育などを支援する中国の全国的な活動である。友人はリタイア後、吉林省長春市と黒竜江省方正県に小学校を建設した。1年に1度有志を募り訪問している。今年は日本から4人と大連在住者13人が参加した。この中には長春出身者も含まれる。
 我々のバスを待ちかまえる子供たちの「熱烈歓迎」の連呼が聞こえ、振る赤いスカーフが並木の間に見え隠れしている。校庭に到着してセレモニーの後、割り当てられたクラスに入って、ぶっつけ本番の1時間の交流を持った。
 全校生徒職員に見送られての帰途、皆が思い思いの話をする中で友人は、出身小学校との文通や植樹など、さらに充実した交流を目指し実行しているという。私は希望小学校の訪問は、中国東北地区の新しい旅の形になるのではないかと話した。
 翌日は市内観光と参加者の生まれた場所を回って彼らの話に耳を傾けた。長春市政府関係者招待の宴席では、変わり行く長春の現状をじかに聞き、夜は劇場で多様な中国芸能を楽しんだ。
 長い人生をどう生き切るかは我々の現実問題である。今回の希望小学校の訪問は、一つの示唆に富む旅であった。黒竜江省方正県の希望小学校訪問は9月に予定されている。
 (池宮城克子・大連外国語学院講師、ウチナー民間大使)