【チャイナ網路】中国人客のお気に入り


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 大理石の産地で知られる花蓮で、2800万円の彫刻をポンと買ったのは、なんと14歳の女の子だった。昨年、米調査機関が「購買力世界一」と発表した中国人海外旅行客。台湾でも、すさまじい“買い物旋風”を吹かせている。
 小粒ダイヤを「お土産に」まとめ買い。台北のショッピングモールでは、買った物が積みきれず、急きょマイクロバスをチャーターする騒ぎだ。買い物と食事には、まずまず満足の様子。が、景勝地の評判は高くない。大陸の大河名山に比べれば、台湾の見るべき名所は確かに少ない。
 そこで今注目されているのが、“大陸客”が一様に興味津々の孫文など歴史的人物に関する史跡だ。孫文記念館の特製記念グッズは好調。総統の元官邸では、参観者に張美齢夫人秘伝の美顔メニューを用意した。最近は、国民党本部も人気の撮影ポイントだ。
 困ったのは、張学良が当初幽閉された新竹県。家屋は四十数年前の台風で倒壊し、跡形もない。資料は今も機密ファイル。史実の証明も難しい。観光地の少ない同県では、当時の張氏を知る人物を捜し出そうと、躍起になっている。
(渡辺ゆきこ、本紙嘱託・沖縄大学助教授)