【チャイナ網路】ウージの“筍”


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 先日、台北のレストランで面白いものを食べた。現地では「甘蔗筍」と呼ばれるウージ(サトウキビ)の新芽だ。“筍”と呼ばれるだけあって、食感や味はタケノコそのもの。細く切った豚肉といためあわせた料理は、驚くほどうまい。
 店主によると、出身地の埔里はサトウキビの産地。以前は収穫の際、葉といっしょに牛の飼料にしていた新芽だが、機械化で農耕牛が減少。処理に困り、調理してみたところ、好評でたちまち同地の名物になったという。
 今では、収穫の際のいい副収入としてではなく、専門に栽培する農家もいるのだとか。なにしろ葉野菜の数倍の値がつく人気だ。ひざの高さほどに育ったところで、新芽を摘み、タケノコの要領でシンを取る。年に何度も収穫ができ、「甘蔗筍」を収穫した後のウージは、むしろよく育つようになるともいう。
 摘み取った若芽は、15分ほどゆでて、下ごしらえ。あとはタケノコ同様、いためものにもスープにも最適の食材となる。エタノール製造など、近年注目を集めるウージだが、食品としての利用も考えてみてはどうだろう。
(渡辺ゆきこ、本紙嘱託・沖縄大学助教授)