【チャイナ網路】台湾発沖縄民謡アルバム


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 先日台北で沖縄民謡のCDを買った。発売元は台湾の有名インディーズレーベル「角頭音楽」。台湾ではほぼ認知度ゼロと言ってもいい沖縄民謡のアルバムを出すとは、さすが「台湾で最も勇気あるレコード会社」と言われるだけある。
 アルバム名は「チャンプラーズ・わかなつ」。歌うは千葉で民謡酒場を経営する宮城一家だ。実はこれ、一度東京で収録したアルバムを再収録したもの。「安里屋ユンタ」「唐船ドーイ」など選曲は手堅い。
 きっかけは2003年に台湾で開催された「アジア民謡フェスタ」だった。最も会場を沸かせたのは、彼らが歌った沖縄民謡。これが、本当に心を揺さぶる音楽を“報道”したいとする「角頭」の目に留まった。
 アルバムを「雑誌」ととらえる同社のスタイルはユニークだ。LPレコード風の紙ジャケットには、歌詞カードと言うには分厚過ぎる小冊子。歌詞の全訳は言うにおよばず、宮良長包から前川守賢まで、曲に関する詳細な解説に本気で音楽を“報道”する姿勢が見える。ただ惜しむらくは、付録があまりに立派で、CDが付録に見えることくらいか?
(渡辺ゆきこ、本紙嘱託・沖縄大学助教授)