【交差点】クーデター


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 9月19日、タイでクーデターが発生。私は19日深夜、夫の友人からの電話でクーデターを知った。夫はフィリピンでマルコス政権時代のクーデターを経験していたため、今回の出来事にすごく不安を感じていた。状況を把握しようとテレビをつけるが既に陸軍がテレビ局を占拠、情報が不十分のため不安は一層深まった。
 今年に入ってタイの政治は不安定な状態が続いていた。タクシン前首相一族の不正な株取引をめぐって首相辞任要求が高まっていた。
 その中で起こったクーデター。戦車や装甲車、軍隊が首相府周辺を取り囲み、陸軍司令官をリーダーとする民主主義制度統治改革団が政権を掌握。一時は厳粛なムードであったが、それとは反対に戦車や軍隊と記念写真を撮るタイ人、翌朝には軍隊に花や差し入れをする人も。20日には官公庁、学校、金融機関は臨時休業となり、バンコクの街は休日ムード。クーデターが起こったとは思えないほど平穏な日であった。
 国民の80%以上が今回のクーデターを支持。大きな混乱もなく、経済への影響も最小限に留まった。ちょっと拍子抜けするクーデターであったが何事もなく無事に事が治まることを期待したい。
(上原洋子・バンコク在住主婦)