【交差点】泡盛に酔う


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 香港最大の食品見本市フードエキスポ。沖縄からはこれまで最大の6ブースを出展した。特に今回はジェトロの協力を得て泡盛を大々的にPRし、泡盛の女王も花を添えた。
 水を差すつもりはないが、香港人はお酒をあまり飲まない。尋ねると、高い税率は英国統治時代の政策とか、温暖だからなどなど。謎はますます深まるばかりだが、要は習慣の問題だろう。
 もちろん、香港にも日本の居酒屋チェーンが進出し多くの香港人でにぎわっている。しかし、客のほとんどはお茶をすすり食事だけで盛り上がる。アルコールなしで会話が弾むのも香港人の豊かさだと感心するが、このチェーン店によると、「アルコールの売り上げが高い日は日本人が多い日。うちは香港では飯屋です」と割り切る。
 一方、多くの輸入食品とともにビールやワインは種類も豊富。約600店あるといわれる日式料理店(香港人経営の日本料理店)でも、すしや刺し身と一緒に清酒を楽しむ方も多い。
 フードエキスポに合わせて開催した「沖縄泡盛の宴」では、沖縄料理に残波大獅子太鼓の演舞、そして古酒をふるまい、会場に入りきらない230人余が、沖縄の味、リズム、そして泡盛を楽しんだ。次は「香港エイサー祭りだ」関係者からは威勢のいい言葉も飛び出す。泡盛も文化として発信することができれば可能性はある。エイサー祭りは案外いい方法かもしれない。
(宮城石(つよし)・県産業振興公社香港事務所長)