【チャイナ網路】赤い怒とうの流行歌


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 陳水扁総統の退陣を求める抗議運動が始まって、はや1カ月。10月10日の国慶節には、全国から12万人が集結した。勢いは依然衰える兆しを見せない。
 その会場で今、流行(はや)っている歌がある。「紅花雨」、赤い花に降る雨を歌った歌だ。
 「赤い花咲いた。赤い心の美しさよ。君を待つ僕は、今もここにいる」と始まるこの歌。“赤”とは、今回の運動のテーマカラーだ。歌は、国を憂い、共に戦う友を思う。連日の雨の中で始まった座り込みは、赤い花に降る雨。繰り返される大合唱に、多くの参加者が涙にむせぶ。
 曲は、数々のヒット曲で知られる作曲家・小虫が、今回のために書き下ろした。
 素朴でゆったりとしたメロディーは、子守り歌を思わせるほど穏やかだが、高ぶる心をなだめるようにみえて、民衆の怒りをひとつの赤い怒とうへと変えていく。
 元々女性歌手4人に収録が依頼されたが、結局承諾したのはその中の1人。
 発売すれば爆発的ヒット間違いなしの流行歌だが、そのあまりにも明確な政治的スタンスに、レコード各社は二の足を踏んでいる。
(渡辺ゆきこ、本紙嘱託・沖縄大学助教授)