【チャイナ網路】台湾から見た与那国


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 台湾東岸の花蓮からわずか111キロ。与那国は台湾本島に最も近い“外国”だ。しかし、台湾人観光客が島を訪れることはまずない。わざわざ那覇で飛行機を乗り継いで行かなければならないからだ。先月台湾・石垣間のチャーター便が就航したが、島は依然遠い。
 そこで与那国町は先月末、昨年に続き2度目の「国境交流特区」申請を行った。台湾との交流拡大を主眼とした自立のための振興策だ。もしこれで船の定期運航でも決まれば、「台湾人投資家は黙っていない」と台湾のマスコミは読む。
 なにしろ高速船なら、花蓮からわずか1時間半。週末旅行には手ごろな距離だ。台湾東部の高速道路も開通した。
 島の土地が高すぎるという声もあるが、足さえ確保できれば、台湾東部の離島観光地に取って代わる可能性はある。期待の高さは、昨年の申請時、台湾から提示された280億円の投資案にもうかがえる。
 近年人気上昇中のマリンスポーツに「海底遺跡」は魅力のポイント。台湾でも大好評だった「Dr.コトー」のロケ地でもある。辺境は最前線に生まれ変われるのか? 日本政府の判断が待たれる。
(渡辺ゆきこ、本紙嘱託・沖縄大学助教授)