井戸掘削は1771~75年 伊良部の史跡「サバウツガー」


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社
サバウツガーの掘削などが記された家系図=10月30日、宮古島市

 【宮古島】宮古島市伊良部の古井戸で市指定史跡のサバウツガー(サバ沖井戸)の掘削時期が、同市内に住む砂川昌之さん(56)が所蔵する家系図「染地氏系図家譜支流」の記述から、1771年から75年の間と判明した。

 家系図は昌之さんの家に古くから伝わっているもので、昌之さんが知人の勧めで宮古の歴史に詳しい砂川玄正さん(62)に解読を依頼したという。
 この家系図は、1620年から砂川間切頭を務めた実忠の息子、実元が書き始めた。1771年に池間の役人となった6代目の実時が、75年に首里王府から現在の伊良部島佐良浜地区の住民が「さは沖」に井戸を掘ったことを褒める御褒書を賜ったと記されている。
 玄正さんは「当時は佐良浜地区に井戸がなく、伊良部島の仲地や国仲に水をくみに行ったり、宮古島に船で渡って水をくんでいて耕作に支障を来しているという記述もある。水に苦労した当時の生活を浮き彫りにする貴重な資料だ」と話した。
 19世紀の記述では伊良部島の旧長浜村が不作に見舞われ、昔から行っていた塩焼きを増産し、宮古島に持っていきアワや小麦と交換して年貢を納めたと記されている。
 思わぬ発見に、昌之さんは「先祖のことを全然知らなかったので驚いた。調べてもらって良かった」と話した。玄正さんは「ほかの家にも気付かれずに保管されている貴重な資料があるかもしれない。昔の字が書かれた紙があったら、教育委員会に連絡してほしい」と呼び掛けた。