響き合う北と南の音色 OKIと大城美佐子


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社
トンコリと唄三線を調和させるOKIと大城美佐子=4日、那覇市の桜坂劇場

 アイヌの伝統弦楽器トンコリの奏者OKIと唄者の大城美佐子によるコンサート「北と南」が4日、那覇市の桜坂劇場であった。

3月に発売したアルバム「北と南」に収録した楽曲を演奏し、トンコリと三線に2人の歌声を絡めた。日本の北端と南端の風土が時に並び立ち、融和する舞台を繰り広げた。異質な楽器が調和し、どこか共通のルーツを感じさせる響きに来場者を引き込んだ。
 「本アッチャメー小」のゆったりとしたリズムで共演はスタート。「固み節」や「よー加那よー」でアイヌの民族衣装を身にまとったOKIが、雪に包まれた静かで穏やかな空間を描くようなトンコリの音を響かせる。大城が奏でる、沖縄の風のように表情豊かに舞う唄三線と調和する。
 「南洋浜千鳥」などでは北海道から大城に師事し、これまでも北と南をつないできた堀内加奈子も唄三線を聞かせた。「北と南」はOKIの力強い声で〈太陽のようなお前の笑顔〉と歌い、大城、堀内の演奏とともに日本をまたぐ空間の広がりを感じさせた。
 「永良部百合ぬ花」は会場も囃子(はやし)で一体化し、「ランク節」でOKIは再びトンコリの音色を奏でる。「レッドおじさん」はOKIがベースを手に軽快に歌い、会場の手拍子が沸いた。大城が「豊年音頭」を軽快にかき鳴らすと来場者は立ち上がり、カチャーシーが巻き起こった。アンコールにも「唐船ドーイ」などで応え、北と南の音色が響き合った南国の舞台を締めくくった。