東浜完封 亜大4強 明治神宮野球大会


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社

 第43回明治神宮野球大会第3日は12日、明治神宮野球場で準々決勝が行われ、高校の部に九州地区代表として出場した沖縄尚学は北照(北海道地区)に1―2で惜敗、準決勝進出を逃した。

大学の部では、東浜巨投手(沖尚高卒)が所属する亜大が福岡大と対戦し、1―0で勝利した。沖尚は三回表に安打と犠飛で先制したが、直後に同点に追い付かれ、同点で迎えた九回裏に本塁打を浴びてサヨナラ負けした。亜大は先発の東浜が2安打無失点、14奪三振の好投で勝利をつかんだ。亜大は13日午後4時から桐蔭横浜大と準決勝を戦う。

◆頂点まで油断なし/東浜、被安打214奪三振
 大学生活最後の大会を優勝という華々しい結果で締めくくるため、東浜巨がまず一勝を挙げた。福岡大を相手に2安打完封、14奪三振。完璧の投球にも「コースに決まらないことがあったし、もう少し角度を付けたかった。まだ50点くらい」と表情を引き締めた。
 立ち上がりは制球が定まらず、先頭打者を四球で歩かせたが「これも自分だと思っていつも通り投げた」と気にしない様子。打者が直球に振り遅れているのを見極めると、「直球が狙われているのは分かっていたが、変化球よりも(打者に)合わない直球を投げた」と強い気持ちで勝負に臨んだ。
 五回までは1安打も許さない力投で、初回の最終打者から三回終了まで7連続三振。六回に初安打を許し、犠打で得点圏に進められた。しかし速球は勢いを増し、「三振を狙いにいった」との言葉通り、後続打者のバットが空を切った。
 試合では9番打者として打席にも立った。「バッターの立ち位置から球を見ることで、直球が(速度の)計測以上に来ていると思った」と、直球主体の投球が間違っていないことを実感した。
 優勝旗をつかむまであと2試合。東都大学リーグが終わっても連投対策の投げ込みは欠かしていない。「泣いても笑ってもこれで最後。自分にとってもチームにとっても悔いのない試合をしたい」。右腕のまなざしが神宮の頂点を見詰めた。(平安太一)

◆沖尚は初戦惜敗/再度出直したい
 比嘉公也監督(沖尚)の話 一球の怖さを全国の舞台で学んだ。一球で仕留めないとこうなるんだと思い知った試合だった。沖縄に持ち帰って再度出直したい。守備は最後まで粘ってくれた。

◆2枚看板好投も1球に泣く/沖尚
 一球が試合の明暗を分けた。1―1の同点で迎えた9回裏。先頭打者を空振り三振に打ち取った宇良淳は、続く打者の大串和弥に対しても攻めの姿勢を崩さなかった。最初の球はボール。2球目は内角低めに入った。「決して甘いコースではなかった」と宇良。しかし打球は金属音を残し、右翼スタンドに吸い込まれた。打球の消えた方向を見詰めた右腕は唇をかんだ。
 敗れはしたが、宇良と先発の比嘉健一朗は、神宮の舞台でも持ち味を存分に発揮した。朝からの冷え込みに加え、小雨がぱらつく天候に「慣れない環境だった」(比嘉)。それでも最後まで球威が衰えることなく、二枚看板の力強さを見せつけた。
 六回までマウンドを守った比嘉は直球と変化球を低めに集め、要所を締めた。三回に連打と犠打で1点を失ったが、2死二塁から中前に抜けた打球を中堅・知念佑哉が好返球、本塁を狙った走者を刺して逆転を阻止した。比嘉は「失点は自分の力不足。打たれた時の配球を修正し、初心に戻って体を鍛えたい」と気持ちを切り替えた。
 七回からマウンドに立った宇良は、走者を背負っても動じない強さがあった。八回に2死から連打を浴びたが、落ち着いて後続を抑えた。九回は一球に泣いたが、「調子は悪くなかった。今後は直球も変化球もいいコースに集めて、勝てる投手になる」と前を向いた。(平安太一)

福岡大打線を2安打14奪三振で完封した亜大・東浜=神宮
沖尚―北照 先発のマウンドに立ち、力投する比嘉健一朗=12日、明治神宮野球場(平安太一撮影)