明治神宮野球大学 亜大、決勝進出逃す


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 第43回明治神宮野球大会第4日は13日、明治神宮野球場で準決勝を行い、東浜巨投手が所属する亜細亜大は桐蔭横浜大に0―2で敗れ、決勝進出は果たせなかった。初戦で無安打無得点試合を達成した多和田真三郎(中部商高出)が所属する富士大(東北)は、延長十回のタイブレークで法政大に2―3で競り負けた。

東浜は登板機会がなく、亜細亜大の打線はチャンスに安打を放てずに無得点に終わった。富士大の多和田は6回からマウンドに上がり好投したが、延長十回に連打され、得点を許した。

◆東浜、学生野球に幕 登板なしも「悔いはない」
 神宮のマウンドに立つことなく、東浜巨の大学野球最後の戦いは幕を閉じた。「終わるという実感はないが、一日一日を全力でやってきた。悔いはない」。強豪選手がひしめく東都大学リーグで歴代1位の22完封、420奪三振。数々の金字塔を打ち立てた右腕は、プロの世界に飛び立つ。
 試合終了の瞬間、東浜はブルペンにいた。2点を奪われた終盤から投げ込みを始め、継投の機会を待った。試合終了が告げられると、ベンチ前に駆け寄り、スタンドで歓声を送り続けた観客に頭を下げて感謝の気持ちを伝えた。エースとして、主将としてチームを引っ張ってきた背番号1は、静かにグラウンドを去った。
 「マウンドに立ちたいという思いはあったが、仲間を信じてブルペンで投げていた」。試合後、目を赤らめながらも、はっきりとした口調で語った。大学4年間の野球生活を「1試合1試合が思い出深い」と振り返る。そして「いい仲間といいライバルに出会えた。大学に進学して良かった」。東浜にとって、一つのステージが終わった。そして、新たな挑戦が始まる。(平安太一)

◆東浜投手最後の球受けたかった 亜大・嶺井捕手
 沖縄尚学時代から続いた東浜巨と嶺井博希のバッテリーにとって、神宮が最後の大会になった。「(東浜が)別の世界に行ってしまうので最後の試合で球を受けたかった」。嶺井は少し悔しそうに話し「7年間ありがとうと(東浜から)言われた」と振り返った。
 桐蔭横浜大戦では捕手として先発し、二盗を狙った走者を2回も刺した。「リーグ戦からよく走者を刺していて、その勢いを神宮まで持ってこられた」と満足げ。打撃では好機に安打を放てなかったが「先輩たちの伝統を引き継いで、来年も必ず神宮に戻ってくる」と再来を誓った。

◆多和田「ピンチでも三振を」 1年生右腕、敗戦収穫に
 初戦に無安打無得点試合を達成。法政大戦でも4イニング連続で無得点に抑えていた多和田真三郎(中部商高出)が、一死満塁からスタートする延長10回タイブレークで涙を飲んだ。
 2連続安打を浴びて2失点。「タイブレークで負けるのは通常の試合で負けるよりも悔しい」と右腕は肩を落とす。それでも、横浜からドラフト2位指名を受けた三嶋一輝との投げ合いに「素晴らしい投手と戦えた。三嶋さんのいいところを自分のものにしたい」と決意。敗戦を糧に成長する意気込みを見せた。
 六回からマウンドに上がった多和田は、立ち上がりから全力投球だった。伸びのある直球で打者を圧倒。三振と凡打で最初の回を三人で終わらせた。七回に初ヒットを許したが、三塁を狙った打者がタッチアウトになり、走者を背負うことはなかった。
 延長タイブレークで今大会初めて走者を背負うことになるが「戸惑いはなかった」。しかし低めに入った球を右方向に運ばれて失点、続く打者にも安打を許した。
 「打たれたのは自分に足りないところがあるから。ピンチでも三振が取れる投手になる」。今後の成長が期待される1年生右腕は表情を引き締めた。(平安太一)

亜細亜大―桐蔭横浜大 試合終了後、スタンドの観客に感謝の気持ちを伝える亜細亜大の東浜巨=13日、明治神宮野球場(平安太一撮影)
先発のマスクをかぶり、投手陣をリードした嶺井博希
法政大―富士大 六回から登板し、力投を見せた富士大の多和田真三郎(中部商高出)