埋め立て経緯、後世に 「マリンタウン」記念誌を発刊


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記念誌を手に20年間を振り返る根川清義さん=与那原町まちづくり分室

 【与那原】中城湾に広がる海岸線の埋め立て事業を終え、7月に解散した「マリンタウン与那原」まちづくり推進協議会は事業の足跡を後世に残すため、このほど記念誌を発行した。

 上空から撮影した東浜地区のカラー写真が表紙となっている「マリンタウンと共に歩む20年」記念誌。裏表紙は埋立前の同地域が白黒写真で掲載され、変貌ぶりが一目瞭然となっている。
 1992年に推進協議会を設立。国や県に埋め立て認可要請活動を続け、4年後に認可を受け、埋立事業の開始から住宅・商業用地を完売するまでの様子が写真入りで詳しく紹介されている。
 第1章から6章に事業の進行状況、掲載された新聞記事と広報記事、関係者の寄稿文、44人の未来へのメッセージ、最後に資料がまとめられている。
 10年後のメッセージでは大綱挽が世界遺産に登録され東海岸線は沖縄市まで開通。路面電車で那覇空港より一日千人前後の観光客が東浜駅に訪れるのを想定している。
 「球陽」に出てくる伝説の与那古浜から、乙姫に連れられて竜宮城に行った話を取り上げ、マリンタウンが昔、竜宮だったように、きらびやかな地上の楽園に発展してほしいと夢を語っている。
 2003年から一般分譲が始まった東浜地区は今年3月に住宅・商業用地計789筆を完売。人口、世帯数とも年々増加。10月31日現在、人口は3千人を超えた。町の人口も押し上げ1万8048人に。20年前の1万4745人から3千人余も増え、増加率は全県一に。町の活性化に一層弾みがつくと関係者は期待を寄せている。
 20年間、推進協会長を務めてきた根川清義さんは「町民の思いは一つ。みんなの支援のたまもの。感謝の気持ちでいっぱいだ」と爽やかな表情で語った。
 町職員時代、当時の町長から埋め立てを進めるようにと命を受けた古堅國雄町長は「30年余にわたって取り組んできた一大事業が所期の目的を成し得たのは、会長をはじめ役員、多くの町民の協力のおかげ」と謝辞を述べた。(知花幸栄通信員)