オスプレイ配備1ヵ月半 学校上空、頻繁に「授業に支障」


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国立沖縄工業高等専門学校の上空を2機編隊で飛行するMV22オスプレイ=8日午後0時25分、名護市辺野古

 在沖米海兵隊の垂直離着陸輸送機MV22オスプレイの沖縄運用に関して、県が市町村と連携して取り組んでいる情報収集で、学校周辺での飛行の目撃が相次いでいる。

10月2日~11月13日に自治体や住民から県に寄せられた情報は289件。そのうち市街地上空の飛行は85件で、その中でも学校や病院、養護施設周辺での飛行に関するものは31件に上る。学校長や学校職員から授業に支障が出ていることや、「危険なので飛行をやめてもらいたい」と求めた事例も挙げられている。
 オスプレイの国内運用に向け、日米合同委員会が合意した安全確保策では、基地への進入、出発経路について「できる限り学校や病院を含む人口密集地域上空を避ける」とし、移動について「可能な限り水上」としているが、実態は学校などを含む市街地上空での飛行が常態化している。
 県内配備から1カ月半を過ぎたが、狭い県土に基地が集中する沖縄での運用は必然的に合意が順守できないことがあらためて浮き彫りになっている。
 オスプレイの目撃情報で、目視場所(通過場所)が学校や病院の周辺だったり、飛行方向に学校を挙げたりした情報は31件。
 目視場所は学校裏に米軍キャンプ・シュワブの着陸帯がある名護市の国立沖縄工業高等専門学校が最も多く、ほかに同市の久辺小、中学校、宜野座村の宜野座中学校、読谷村の渡慶次小学校、北中城村の北中城中学校、浦添市の神森小学校、那覇市の泊小学校、那覇国際高校、安岡中学校などの周辺で飛行が確認された。
 10月4日には久辺小運動場上空で飛行があり、同校職員から「授業に支障がある」と訴えがあったほか、11月6日に運動場上空を2機編隊で計3回飛行があり、同小校長から飛行をやめてほしいとの声が寄せられた。
 沖縄高専の職員からは「講義に支障がある」(10月4日)、「グラウンド、校舎上空を低空飛行し、うるさい」(11月6日)などの声が寄せられた。
 集落上空での飛行に関しては、伊江島補助飛行場で積み荷のつり下げ訓練が実施された際に、伊江村真謝区民から村に苦情が寄せられたとの報告もある。
 自治体や住民からの目撃情報は、目視場所について地域名だけを報告したものが多く、普天間飛行場での離着陸で市街地上空を通る宜野湾市を中心に、ほかにも学校などの周辺上空を飛行している可能性が高い。
 原則、基地内上空とされているヘリコプターモードでの飛行が基地外で頻繁に見られる状況もあり、県と市町村は今月末までに飛行状況を写真や動画で撮影し、合意違反の実態を詳細に把握し、政府に示していく方針だ。(内間健友)