「首里城明け渡し」上演へ 那覇市文化協会20周年公演


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「首里城明け渡し」の稽古に励む(右から)玉木伸、春洋一、与座朝惟、前川守賢、嘉陽田朝裕ら=13日、浦添市の国立劇場おきなわ

 明治政府による「琉球処分」を題材にした沖縄芝居の琉球史劇「首里城明け渡し」(作=山里永吉、演出=与座朝惟、演技指導=玉木伸)が12月2日午後5時、那覇市民会館で上演される。

沖縄俳優協会が1988年に同会館で上演して以来、約24年ぶり。米軍基地問題を念頭に、「第三の琉球処分」とも表現される今の沖縄の状況も重なる数々の名言が盛り込まれた史劇の大作として注目される。
 那覇市文化協会が創立20周年記念特別公演として主催し那覇市、沖縄俳優協会、琉球新報社が共催する。
 物語は、明治政府が琉球王国へ首里城明け渡しを迫る。親日本派の大和党・宜湾親方(玉木伸)と親中国派の支那党・亀川親方(春洋一)、さらに若者らが集う花染党の三つに分かれての争いが激化。処分官・松田道之(普久原明)が武力的威圧の下で廃藩置県を通達し尚泰王(与座朝惟)は断腸の思いで首里城を明け渡す。出演は他に瀬名波孝子、伊良波冴子ら。
 同作は30年に初演されて人気を博し、1カ月余の長期にわたって上演された。戦後は松竹梅の三劇団合同で上演し、74年、88年などにも上演された。
 城を明け渡す際に尚泰王が唱えるつらね「戦世(いくさゆ)ん終(し)まち 弥勒世(みるくゆ)んやがて 嘆(なじ)くなよ臣下 命(ぬち)どぅ宝(たから)」は有名。「命どぅ宝」は平和を希求する沖縄の心を表す言葉として知られる。
 尚泰役の与座は「当時の国王の心を表現したい」と思いを語る。宜湾・亀川が議論する場面は当時の葛藤が浮かぶ。玉木は「大宜見小太郎先生ら先輩方の演技を念頭に演じたい」、春は「史劇のせりふ使いを若手へ伝えるためにも、残したい作品」と強調した。
 「新むんじゅるー」(泉賀寿子演出)も上演。泉、島袋ゆかり、具志清健、高宮城実人が出演する。
 入場料は3千円。問い合わせは那覇市文化協会(電話)098(861)1909。

※注:高宮城実人の「高」は旧漢字