湛水流の神髄 披露 伝統保存会、東京で公演


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上里平三会長、平光雄名誉会長らによる湛水流斉唱「ぢゃんな節」=18日、東京都墨田区の江戸東京博物館内ホール

 【東京】琉球古典音楽の湛水流伝統保存会(上里平三会長)が創立30周年記念の東京公演を18日、東京の江戸東京博物館で開いた。

創設者の山内盛彬(1890~1986)が湛水流全曲を伝えた最後の個人伝承者で横浜在住の平光雄・名誉会長のカジマヤー(97歳)記念を兼ね開催した。
 王朝時代に朗唱されていた儀礼・祭礼用の古謡「王府おもろ」を盛彬から直接伝授された安仁屋真昭が実行委員長を務めた公演。17世紀後半に確立され、「琉球古典音楽の源流」とされる湛水流独特の奏法や唱法を首都でアピールした。
 幕開けを飾った上里や平らによる「ぢゃんな節」斉唱など、盛彬が採譜した湛水流歌曲・琉舞のほか、安仁屋率いる男性12人の「謡(ふ)きゅる保存会」による「王府おもろ」や、同じく王府時代の女性歌謡「クェーナ」(首里クェーナ保存会)の朗唱もあり、感嘆の声が漏れた。
 感謝状を贈られた平は、湛水流は三十数年前は消滅の危機にあったとして「盛大な会を本土で催せるとは山内先生も夢にも考えなかったと思う。本当にうれしい」とあいさつした。