心の育ちを重視 全国保育研究大会


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 第56回全国保育研究大会(主催・全国保育協議会など)が14日から16日まで、宜野湾市と那覇市内で開かれ、全国から約1700人の保育士らが参加した。

11の分科会に分かれ、研究討議が行われたほか、最終日の16日は、沖縄コンベンションセンターで、元県社会福祉協議会副会長の呉屋清徳さんが「沖縄の福祉のあゆみ」と題し記念講演を行った。第2分科会と記念講演の一部を紹介する。
 15日に那覇市前島の沖縄かりゆしアーバンリゾート・ナハで開かれた第2分科会は、「配慮を必要とする子どもの保育の充実」をテーマに行われ、約230人が参加した。
 金沢市の保育士上出真千子さんは、広汎性発達障がいと診断を受けている3歳のK君の対応について、意見発表した。
 同園では半年かけてK君と保育士の信頼関係を築くことに重点を置き、保育日誌を毎日記録、職員間で話し合う機会を確保したという。
 「保育士がK君を『どうにかしたい』という手立てを考えるのではなく、K君がどうしたいのかを常に考え、今何が起きているのか心の育ちを見つめることを重視した」と報告した。
 フロアからは「職員の配置体制はどうなっているのか」という質問があり、上出さんは「3歳児は18人おり、3人の職員がいる。そのうち1人はK君担当」と答えた。
 助言者として登壇した、福岡県の小児科医・吉永陽一郎さんは「発達が心配で」と子どもの診断名を求められることがあると話し、「診断名がつくと『手に負えません』と周りが去って行く。診断名がつかなければ、周りが四苦八苦する。診断の有無を問わず、この保育園のように手厚い受け皿は大事だ」と述べた。
 そのほか、那覇市のみやび保育園では(1)「配慮を必要とする子ども」とはどういう子どもか、全保育士がレポート提出(2)レポート内容を元に話し合う(3)専門家のアドバイスを受ける(4)保育士の対応を振り返る―という研究を進めたという意見発表があった。

配慮を必要とする子どもの支援の実践例について、耳を傾ける参加者ら=15日、那覇市前島、かりゆしアーバンリゾート・ナハ
吉永陽一郎さん