国や文化 飛び越えろ SHORES「ビギニング・エンド」


社会
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パワフルなライブパフォーマンスで聴衆を圧倒するSHORES=10日、那覇市のoutput

 ロックバンドSHORES(ショアーズ)が初アルバム「ビギニング・エンド」(BORNtoLOVErecords)を14日に発売した。

叙情的な旋律と破壊的なデス声ボーカルに、前向きなメッセージを込めた歌詞を乗せる全8曲(1575円)。プロデュースは2side1BRAINのMEGとSHUNTAROCKが手掛けた。
 ライブハウスで知り合った仲間で2010年に結成した。メンバーは18~23歳の5人で構成。うち4人は米国と沖縄のハーフで、1人は米国人。異文化がロックという舞台で交わる沖縄を体現するバンドだ。
 結成後は北谷町や沖縄市などでライブを重ねたが、11年に当時ギターだったエディが少年に模造刀で刺され、亡くなった。ライブや楽曲製作はストップ。バンドとして「路頭に迷った」が、ファンや全国のバンド仲間から応援のメッセージが次々に届いた。
 背を押されるように今年に入って録音を本格化し、アルバムを完成させた。収録曲の中でひときわメロディアスな「Westward March」は「僕らはきっと目の前にある障害を越える」と歌う。
 バンドの将来像をメンバーは「独自性を高め、日本にはないバンドになりたい」と描く。彼らのファンはロックキッズだけでなく、幼いころから言語や文化の違いにほんろうされたハーフの若者たちも多い。「ハーフキッズたちに希望を与えられる存在になりたい」と口をそろえる。
 基地の中と外、どちらに暮らす人々の気持ちも理解できる彼らは、沖縄で米軍にまつわる事件・事故があるたびに心を痛めてきた。ショーン(ベース)は「誰かのせいで全部が悪く見えるのはもったいない。米国人、日本人ではなく人間を見ることが大切だ」、トーマス(ボーカル)は「尊敬し合う気持ちが大事。語らずとも同じ時間を共有できる音楽はユニバーサルランゲージだ」と語った。(宮城隆尋)

英文へ→Rock band Shores releases its first album called Beginning | End