米軍、再発防止で方針 外出禁止令破り、飲食店が通報


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米兵事件の再発防止策について話し合う米軍や沖縄防衛局、自治体担当者ら=28日、外務省沖縄事務所

 県内で米兵事件が相次いでいることを受け、外務省沖縄事務所は28日、「米軍人・軍属等による事件・事故防止のための協力ワーキング・チーム」(CWT)の特別会議を同事務所で開いた。

米軍側から新たな再発防止策として、飲食店が深夜外出禁止令を破った米兵を米軍に通報する「ホットライン・プログラム」を実施するとの方針が示された。一方、出席した自治体からは米軍が既に取っている別の再発防止策も含め「実効性のある提案が出たとは思えない」などの声が上がった。
 同会議は外務省のほか、沖縄防衛局、在沖米4軍、県、県警、沖縄市、那覇市、読谷村などの実務担当者が出席。冒頭以外非公開で行われた。
 深夜外出禁止令(午後11時~午前5時)順守のチェック体制について、米軍側はゲートで兵士のIDカードを点検していると説明したが「今のところ完全ではない」との認識を示した。読谷村の米陸軍トリイ通信施設で、海に面したフェンスがない場所で兵士が出入りする状況があり、確認体制を強化したところ違反者を数人見つけたとの報告があった。
 在沖米海軍では兵士が午後11時に所属部隊に連絡する体制を取っているという。
 森本敏防衛相が提案した米軍と県警の夜間共同巡回が説明されたが、県警は、巡回中に米兵を逮捕する場合、日米合同委員会合意に基づいて米側が身柄を拘束する状況は望ましくないとして、懸念を示した。地元からは合意自体の改定を求める声も上がった。共同巡回については外務省や市町村、県警で引き続き協議する。
 会議後、那覇市平和交流・男女参画課の宇地原靖課長は外出禁止令や夜間パトロールなどの実効性を担保するため「現行策の効果確認、事実公表と検証に注目していきたい。具体的には違反者がいれば所属部隊と階級、違反の内容、その後の処分についての公表を求める」と要望したことを説明。読谷村跡地利用推進課の佐久川政博係長は「実効性のある提案が出たとは思えない。パトロール強化というが、読谷の事件は家の中で起きたし、村内でパトロールしているとは聞いたことがない」と述べ、実効性に疑問を呈した。