全地点で騒音増加 辺野古アセス補正


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辺野古アセスに関する有権者研究会最終報告(補正評価書案)

 【東京】米軍普天間飛行場代替施設に関する環境影響評価(アセスメント)で、評価書の補正作業に向けて防衛省が設置した有識者研究会(中村由行座長)は11日、知事意見を踏まえて修正すべき点を提言した最終報告書を森本敏防衛相に提出した。

代替施設建設の埋め立てに必要な土砂のうち、評価書で明らかになっていない1700万立方メートルの調達先や、米軍ヘリのホバリング(空中停止)時の騒音などを加えた新たな航空機の予測騒音結果などが盛り込まれた。騒音予測全15地点でうるささ指数が評価書の値より増加した。低周波音などに関しての知事意見に明確に答えなかった。
 自然保護団体などが求めている現地調査のやり直しは提言されておらず、既存データを用いての補正に、反発の声が上がるのは必至だ。
 防衛省は同研究会の最終報告を基に、補正作業を終え、県に補正文書を提出する準備を整える。補正文書を県に提出した後、政府は仲井真弘多知事に辺野古埋め立てを申請する段階に移る。補正した評価書をいつ提出するかは「政治判断が必要だ」(防衛省幹部)としており、衆院選の影響などもあり不透明だ。
 調達計画が明らかになっていない1700万立方メートルについては、1640万立方メートルは県内、九州、瀬戸内周辺から採石場での砕石生産などで発生する「岩ずり」を調達し、残り60万立方メートルは県内の砂を購入することを提言した。
 航空機騒音の予測については、評価書に加味されていなかったホバリングやエンジン調整などの騒音を加えたうるささ指数(W値)を新たに算出した。辺野古漁港のW値は71・3と環境基準値の70を超えた。
 2010年の普天間爆音訴訟の高裁判決で心身被害との因果関係が認められている低周波音については知事意見が求めた心理的・生理的影響への評価が行われず、具体的記述はなかった。県内に配備されている垂直離着陸輸送機MV22オスプレイの騒音については、基礎データごとにモードや速度、ナセル(エンジン部分)の角度の設定を具体的に記載すことを提言した。