嘉手納より南統合計画 策定作業が難航


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 【東京】在日米軍再編見直しに関して、日米両政府が12月末までに発表するとしている米軍嘉手納基地より南の米軍5施設・区域の返還に関する統合計画の策定が難航している。

「年内に整理するのか考えないといけない」(外務省幹部)との声が上がるなど、年内に間に合わない可能性も出てきた。
 外務省幹部は「作業は事務的に進めているが、煮詰まるところまで至っていないのが現状だ」と述べ、発表のめども分からないとした。別の同省幹部も「作業は相当一生懸命にやっている。細かい作業を行っているし、理由があって予定通りのスピードで進めない。やっているけど難しい問題があるということだ」と述べた。
 難航している理由の一つに、返還時期の明記をめぐる攻防がある。日本政府は、米軍基地5施設の返還時期の明記を目指すが、米政府は時期の明記に難色を示している。防衛省幹部は「明記することで時期に縛られたくないとの思いが米側にあるようだ。決められた時期に返還できなくなることにも抵抗がある」と説明する。返還される基地の代替施設に関しても、地元調整を含め、課題がある。
 両省関係者は、衆院選の影響も示唆する。外務省関係者は「選挙との関係で、どこまで進めるかというのは政治の判断だ。煮詰まったとき、誰がどういう決断をするかということについては、政治判断を求めることになるが、選挙後の態勢がどうなるのか、見えない」と述べ、衆院選の結果によっては、作業が遅れる可能性を指摘した。