不意打ちに緊迫 北朝鮮ミサイル発射


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市職員や自衛隊の連絡要員と発射情報を確認する中山義隆石垣市長(左)=12日午前10時半ごろ、石垣市役所

 北朝鮮の事実上のミサイルが発射された12日午前、政府から全国瞬時警報システム(Jアラート)で「発射」の情報を受けた県や県内市町村の職員は、住民への情報伝達をはじめ、被害を確認したり情報を収集したりするなどの対応に追われた。

 県の防災危機管理課では午前9時55分、Jアラートがアラーム音とともに発射情報を伝えると、一気に緊迫した。緊急情報ネットワークシステム(エムネット)によって政府から次々と送られてくる詳細な情報を受ける作業や、電話をするなど慌ただしさが増した。午前9時55分と10時2分には庁内放送で「ミサイル発射」と「この(沖縄の)地域上空を通過したもようである」との放送が流れた。宮古島市では、宮古空港で待機していた破片探索用の自衛隊ジェット機が午前10時12分ごろに離陸。同市は落下が確認されるまで屋内に避難するようアナウンスした。
 石垣市では午前10時15分から同18分の間に自衛隊のヘリコプター4機が同市八島町新港地区を離陸、四方に飛び立った。中山義隆市長は会見で「再三の中止要請の中、発射が強行された。厳重に抗議する」と北朝鮮を批判。「不意を突かれた感じだったが、緊張感を持ってしっかり対応できた。被害がないことは安心だ」と話した。
 県内市町村議会は定例会の期間中で、那覇市や南城市、うるま市、宮古島市、北谷町など多くの議会が開会を遅らせたり、中断したりした。翁長雄志那覇市長は「沖縄の上を飛んでいくことは大変迷惑で、もうやめてほしい」と語り「この結果、戦争の脅威を説く人もいる。尖閣と同様、沖縄がきな臭くなることもあり、注視し、心配している」と語った。

<県内ドキュメント>
 9・49 北朝鮮が南の方向に「ミサイル」発射(推定)
 9・55 県のJアラート、Em―Net(エム・ネット)が発射情報を受信
 9・56 沖縄都市モノレールが運行停止(10時2分まで)
 9・58 分離した「ミサイル」1段目が朝鮮半島の西約200キロの黄海に落下(推定)
 9・59 2段目が朝鮮半島南西約300キロの東シナ海に落下(推定)
10・00 第11菅区海上保安部が宮古島市沖に配備中の海保巡視船、那覇航空基地所属航空機に出動指示
10・00 県議会が定例会開会を遅らせる(同18分に開会)
10・01 沖縄上空を通過(推定)
10・05 3段目がフィリピン東約300キロの太平洋に落下(推定)
10・12 宮古空港で待機していた破片探索用の自衛隊ジェット機離陸
10・15 石垣港から自衛隊ヘリ4機が相次ぎ離陸
10・41 県内全41市町村で被害情報がないことを確認
12・13 空自宮古島分屯基地のPAC3発射機を下げる
12・45 県危機管理対策本部会議開催
13・00 仲井真弘多知事が会見し発射を批判
17・05 海上保安庁、11菅区などによる対策本部解散
17・21 防衛会議、破壊措置の終結命令
17・40 県が警戒態勢解除