ラオス支援10年 琉大付属病院、内視鏡技術を伝授


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10年にわたりラオスの病院で消化器内視鏡の技術を教えるなど継続支援を続けている琉球大学付属病院の金城福則医師(前列左)と金城渚医師(右端)と医療スタッフ=2011年、ラオス内の病院

 琉球大学医学部付属病院が2002年1月からラオスで消化器の内視鏡検査の実技指導と知識の伝授を始め、ことしで10年を迎える。現地に足を運び、継続支援をしているのは、同病院光学医療診療部の金城福則、金城渚の両医師。世界最高水準といわれる日本の内視鏡技術の移転で、検査件数は飛躍的に増え、内視鏡を使って胃潰瘍や食道静脈瘤(りゅう)などの治療にも取り組めるようになった。

 琉大病院は当初、首都ビエンチャンにある国立セタティラート病院で、JICA(国際協力機構)が取り組んでいた病院改善プロジェクトに参加し医師を派遣。その後は琉球・アジア太平洋医学交流協会の助成で数年間、医師を派遣してきたが、助成期間が終了したため、08年と11年は金城福則医師と金城渚医師が自費で、約1週間滞在した。支援先は、ラオス北部のルアンプラバン県立病院などにも広がっている。
 支援当初は、咽頭麻酔や鎮静剤を使わず内視鏡検査を実施しており、苦痛を訴える患者もいた。支援は検査で使う薬剤の確認から始め、内視鏡の手技、カルテの記入方法と検査画像の読み取り方などを助言した。
 金城渚医師は「技術取得が進み、(医療スタッフが)患者さんから感謝され慕われるようになっている。彼らには向上心や粘り強さがあり、こちらも意欲が湧いてくる」と手応えを感じている。
 10月20日から約1カ月間は、セタティラート病院のパイワン・ケオパセウ医師が来県し、琉大病院や県内の病院で消化器内視鏡の検査や治療の過程を学ぶなど相互交流に発展している。ラオスの病院からは内視鏡の画像と所見用紙を琉球大へ郵送してもらい、金城両医師が確認する体制を取っている。
 金城福則医師は「私たちの医療活動はいずれ限界がくる。しかしラオスの医師や看護師が仲間を指導できるようになれば、はるかに力を発揮する。自立できる環境をつくるまでは続けたい」と意欲を見せている。

英文へ→University of the Ryukyus Hospital marks 10 years of support activities in Laos