県外要求へ正念場 普天間「辺野古」移設加速も


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 米軍普天間飛行場の返還・移設問題で、名護市辺野古移設を推進する自民、公明両党が政権を奪取した。

下野する民主党や第三極の日本維新の会が同じ方針を掲げており、国会内では県内移設推進派が圧倒的多数を占める。県外や国外移設、無条件撤去を掲げる沖縄側にとっては要求実現へ正念場を迎える。
 自民党は尖閣問題による日本と中国の関係悪化などを理由に、日米同盟強化を特に強く訴えている。辺野古移設や与那国島への自衛隊配備などを進める姿勢をさらに強める可能性がある。普天間への垂直離着陸輸送機MV22オスプレイの配備見直しなど基地問題をめぐり、沖縄側の要求を政府が聞き入れない状況がさらに強まり、沖縄の基地負担軽減が置き去りにされる懸念もある。
 普天間飛行場の辺野古移設に向けた環境影響評価は最終段階となる評価書の補正作業が進められており、新政権でも補正した評価書の県への提出とその後の埋め立て承認申請を、着々と進める見通しだ。
 沖縄選挙区から出馬した当選者は全員、普天間飛行場の県外や国外、無条件撤去を掲げ、県内移設に反対する県民の意思が強固であることをあらためて印象付けた。新政権が辺野古移設を強行する姿勢を強めれば、沖縄との亀裂がさらに深まることは必至だ。
 仲井真弘多知事は「県外」を求める理由に、稲嶺進名護市長ら「地元の反対」を挙げる。2014年1月の名護市長選に向け、辺野古移設推進派の候補者擁立の動きが次期政権の思惑も絡み、活発化しそうだ。(内間健友)