防衛局、県に補正書 普天間環境影響評価書


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沖縄防衛局が補正し、提出した環境影響評価書を箱から取り出す県職員=18日午後4時20分ごろ、県庁

 沖縄防衛局は18日、米軍普天間飛行場の名護市辺野古移設に向けた環境影響評価(アセスメント)を補正した評価書を県に提出した。アセスの手続きは事実上終わった。政府は今後、仲井真弘多知事に辺野古の埋め立て承認を申請する。

県は文書に不備がないかを19日以降、確認した上で受理する。防衛局は補正した評価書の公告・縦覧を県や名護市、宜野座村、防衛局の各庁舎など5カ所で行うことで調整する。年内にも始まり、期間は1カ月。仲井真知事は衆院選直後で、新政権の発足前の補正評価書の提出について「想定外」と報道陣に述べた。
 公告・縦覧終了前に埋め立て承認を申請することは可能だが、防衛省は「一般的には公告をした後となる」としている。
 補正された評価書は、オスプレイを含む航空機騒音は、評価書にはなかったホバリングやエンジン調整音を加えた騒音予測調査により、辺野古漁港でうるささ指数(W値)が環境基準値を超える71・3となった。調査全15地点でW値が評価書の値から増加した。
 国の特別天然記念物・ジュゴンについては、個体群存続可能性分析(PVA)による予測を実施、100年後の絶滅確率を算出した。「繁殖率や雌の初期個体数による絶滅リスクの差は比較的大きい結果となったが、事業実施前後の絶滅リスクに差は認められなかった」と結論付けた。
 防衛省が確認しているジュゴン3頭の自然絶滅のリスクの大きさと比較し、事業による環境収容力の低下が与える絶滅リスクへの影響を過小に評価している。
 県によると、防衛局は18日午後3時半ごろ、職員約20人が環境政策課と海岸防災課などに約20箱の補正評価書を運び込んだ。同4時ごろ、名護市と宜野座村にも補正評価書を届けた。
 仲井真知事は県条例と法令に基づき、今年2月と3月に防衛局へ「環境保全は不可能」と結論付け計579件の不備を指摘する知事意見を提出した。補正で知事意見がどう反映されたかが焦点となる。

英文へ→Defense Bureau submits revised Environmental Impact Statement on the Futenma relocation