辺野古移設アセス 県、補正書受理


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 県は19日、沖縄防衛局が提出していた、米軍普天間飛行場の名護市辺野古移設に向けた環境影響評価(アセスメント)を補正した評価書を受理した。18日の提出を受けて形式審査を終えた。

防衛局は同日、補正評価書について担当者らが報道陣に説明した。評価書の総合評価にあった「事業実施に際し、環境保全上、特段の支障は生じない」との表現を削除、579件に上る知事意見を勘案した上で「事業者の実行可能な範囲で最大限の環境保全措置を講じる」としているが、実効性は不透明だ。
 公告・縦覧は場所を調整中だと説明、県知事への埋め立て承認申請の時期については言及しなかった。
 全ての知事意見に事業者の対応方法が述べられたが、飛行場運用では米軍に裁量が委ねられ、騒音などの住民負担軽減への保全措置ははっきりしない。
 埋め立て土砂用に「沖縄、九州、瀬戸内から調達する」とした、砕石場で生じる岩ずり約1640万立方メートルについては具体的な採取地や土量などを明確にしなかった。運搬方法について担当者は「全て海域から輸送する」と説明した。
 補正の概要からは、防衛省の2009年度~11年度の環境現況調査により、埋め立て区域とその周辺で絶滅危惧種のウミガメの上陸・産卵が毎年確認されたことが明らかになった。
 また、絶滅危惧種ジュゴンの野生絶滅のリスクに対する事業実施による影響はほとんどないと結論付けた。環境保全措置としては、「砂浜消失の代償として、他の砂浜におけるウミガメ類の上陸・産卵に適した環境整備」「海草藻場消失の代償として、移植や生育基盤の環境改善」「工事用船舶との衝突防止のためのジュゴン監視・警戒システムの構築」「消失するサンゴの移植」などを盛り込んだ。航空機騒音は、新たに辺野古漁港でうるささ指数(W値)が71・3に達し、環境基準を超えた。W値は全15地点で評価書を上回った。
 米軍機の飛行経路については代替基地から別の基地への施設間移動についても予測試算したが、米軍から正確な飛行経路を聞いた上での試算ではないことを明らかにした。
 航空機の運航に伴い発生する低周波音については、オスプレイやCH53大型輸送ヘリに加え、AH1攻撃ヘリとUH1汎用(はんよう)ヘリの飛行予測を行い、両機種ともに予測地点で基準値(閾値(いきち))を上回ることが明らかになった。