普天間移設 安倍氏「辺野古に」 仲井真知事「県外変えない」


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 自民党の安倍晋三総裁は21日、山口県庁で記者会見し、米軍普天間飛行場移設問題に関し「名護市辺野古に移設する方向で地元の理解を得るため努力したい」と述べ、日米合意に沿った県内移設実現を目指す考えを示した。

自民党は衆院選公約で移設先を明記せず、県内の同党候補は全員が「県外移設」を主張して小選挙区か比例代表で当選。衆院選直後の「県内」表明は、反発を招きそうだ。
 安倍氏は会見で、かつての安倍政権でも辺野古移設を推進した経緯を説明。「民主党政権の迷走で、沖縄の皆さんの気持ちが裏切られた」と強調した。
 同時に「沖縄の負担軽減と抑止力の維持という中で、各地域にも(負担を)お願いし米軍再編を進めていく」と述べ、基地負担の分かち合いを訴えた。
 普天間飛行場に関して自民党は衆院選向けの政策集で「固定化に対する沖縄の懸念を払拭(ふっしょく)し、新たな負担を被る関係自治体に特別な配慮・施策を講じる」としたものの、具体的な移設先には触れなかった。
 石破茂幹事長はこれに関連して20日、仲井真弘多県知事との会談で「党県連や県とよく相談して進めたい」と地元の意向を踏まえて対応する方針を強調した。
 安倍総裁の発言について仲井真知事は「(県外移設を主張する)自民党県連とも違うのに、県連と調整もしないでどうやって地元の理解を得るのか」と疑問を呈し、「私は、辺野古は事実上不可能だから県外移設を求めるという主張は変えない。私は県民党だから」と述べ、県外移設要求の姿勢は変えないと明言した。
 自民党県連の照屋守之幹事長は「まだ政権に就かない段階で、そのような発言をするのは理解ができない」「沖縄の実情が分かっていないのではないか」と述べ、安倍総裁の発言に強い不快感を示した。
 照屋幹事長は衆院選の結果に触れ「(県内では)自民候補全員が、普天間の県外移設の実現を県民に約束して、当選することができた。辺野古移設に反対し、県外移設を求めるのは沖縄の民意だ」と指摘。「総裁は沖縄の実情がよく分からないのではないか。県連は、県外移設実現のため、県選出・出身国会議員と連携を取り、党本部に説明、協議をして再検討してもらう」と話した。