八重山教科書訴訟 原告の訴え退ける


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 八重山地区の教科書採択をめぐり、石垣市と与那国町の児童生徒5人と保護者6人の計11人が両市町を相手に東京書籍版公民教科書の無償給付などを求めた訴訟の判決で、那覇地裁は26日、原告の訴えを退けた。

酒井良介裁判長は、原告が育鵬社版教科書を受けないとした請求は不適法として却下し、東京書籍版を受ける請求は棄却とした。
 原告側は判決の後、会見し、判決を不服として高裁に控訴することや、別の原告が同様の内容を請求する2次訴訟を25日付で起こしたことを表明した。教科書が有償給付されている竹富町の生徒の保護者が、文部科学省を相手に損害賠償請求の訴訟を起こす方針であることも明らかにした。
 原告側は、3市町の教育委員による全員協議が昨年9月8日に多数決で東京書籍版を採択したことを挙げ、これは教科書無償措置法に定める「協議」に当たると主張。被告側は、八重山地区協議会が同年8月23日に育鵬社版を選定したことを指摘し、この答申に基づき、石垣、与那国の両教育委員会が育鵬社版を採択したことが有効と反論した。裁判はどちらに有効性があるかが争われた。
 原告側が採択の有効性を主張する全員協議について、判決は、石垣市、与那国の両教育委は「(全員協議の採択に)同意したとは認められない」と判断。両教委は東京書籍版を採択したとはいえないとし、原告の訴えを退けた。
 八重山採択地区協議の答申を受けた、石垣、与那国両教委による採択の有効性については判断を避けた。