病児と家族へ情報提供 雑誌「Family」県内で発刊


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療育ファミリー応援雑誌「Family」を発行している「NPO法人療育ファミリーサポートほほえみ」代表の福峯静香さん=12月28日、南風原町

 療育ファミリー応援雑誌「Family」が昨秋に創刊し、1月4日に第2号が発行される。障がいや病気を抱えた子どもとその家族を対象にした県内では珍しい雑誌。公的福祉サービスや相談窓口、就学決定の流れ、交流会や上映会などの情報を詳しく掲載している。子どもを療育する家族が情報を得たくても、時間的な制約や外出機会の少なさで情報収集が難しい現状にある中、日々の暮らしに役立つ内容になっている。

 発行する「NPO法人療育ファミリーサポートほほえみ」代表の福峯静香さん(42)は「先がどうなるのか見えない不安がある中で、誰かが支えてくれると思える雑誌にしたい」と発行の狙いを語る。
 取材・編集は福峯さんと宜寿次政江さん(35)が担当。福峯さんが発行を思い立ったきっかけには、先天性の脳の異常形成を抱え、1歳11カ月でこの世を去った長男・宙(そら)ちゃんの存在がある。2002年6月に仮死状態で生まれ、新生児集中治療室(NICU)のある病院に転院した。不安が募る中、たまたま院内で障がいに関連する情報を集めたガイドブックを目にした。「福祉サービスの情報が載っていて安心した。退院後、役所での手続きのときに、この冊子が手掛かりになった」と振り返る。
 発行間隔の短い雑誌なら新しい情報を逐一提供できると考え「Family」を創刊。入退院時の相談窓口となる県内6医療機関の地域連携室を特集で紹介した。第2号では特別支援学校の配置状況のほか、就学決定の流れを掲載。保育関係者や理学療法士による心温まるエッセーもつづられている。ネット上に雑誌と連動したサイトを開設し、読者が交流できる掲示板も設けている。
 ダウン症の長女・弥生ちゃん(3)を育てている、読者の一人の知念良美さん(32)=南風原町=は「雑誌があると心強い。先輩お母さんの体験談は参考になるし、娘の就学に向けてとても勉強になった」と実感を込める。
 年4回発行で発行部数は千部。県立南部医療センター・こども医療センター、中部、北部、宮古の県立病院、那覇市立病院などの院内売店のほか、Booksきょうはん7店舗で販売している。きょうはん各店舗と南風原町のファミリーハウス「がじゅまるの家」ではバックナンバーも購入できる。問い合わせは電子メールinfo@ryouikufamily.com
(高江洲洋子)