平和への思い共有 韓国の高校生、沖縄戦証言で尊さ学ぶ


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ひめゆり平和祈念資料館の島袋淑子館長(左)から沖縄戦の体験談を聞く、韓国・以友高校の生徒ら=4日午後2時すぎ、糸満市伊原

 韓国ソウル市近郊に位置する城南市の以友(イウ)高校の1年生ら13人が平和学習を目的に4日、空路来県した。

11日までの7泊8日の日程で、沖縄戦の歴史や、過重な負担を強いる米軍基地問題の実態などを学ぶほか、県内の高校生との交流を通じて平和への思いを共有する。4日は沖縄戦体験者の証言を聞き、戦争がもたらす悲しみや平和の尊さを学んだ。
 以友高校では、平和学習などを目的に海外研修旅行を実施している。同高で沖縄を訪れるのは昨年に続き2度目。今回は本島内の戦跡や米軍基地に加え、伊江島では「ヌチドゥタカラの家 反戦平和資料館」なども訪ねる。期間中は県内高校生とも交流する予定だ。
 4日、生徒らは糸満市のひめゆり平和祈念資料館を訪ね、島袋淑子館長の沖縄戦体験の話に耳を傾けた。
 島袋館長は、戦況悪化に伴い負傷者が激増し、生き地獄と化した病院壕の様子や、「鉄の暴風」で目の前で亡くなった友人の様子を説明。「戦争は人間が犯した最大の過ち。絶対にしてはならない」と訴えた。また、領土問題をめぐり緊張する日中、日韓関係にも触れ「韓国、中国ともに皆で平和を築いていこう」と呼び掛けた。
 講話を聞いた河才苑(ハジェウォン)さん(16)は「戦争は絶対に許せないという島袋さんの思いが心に響いた」と感想を語り、「韓国も沖縄同様に戦争もあったし、現在も米軍基地がある。沖縄の歴史を昔のことと切り離さず、今につながる問題として私たちが受け止めることが平和を追求するために大事なことだと思った」と話した。
 生徒を引率する姜炳旭(カンビョンウク)教諭(47)は「平和を守りたいという思いはどこも同じ」と話し、現在の日韓関係には「(両国内で)対立したがっている人があおっている」と両国の関係悪化を懸念する。「この旅のテーマは『終わっていない戦争』。戦跡や米軍基地を通し、生徒一人一人が何かを感じ取れる旅になってほしい」と述べて、旅を通した生徒の成長に期待した。