「オランダ墓」思い語る 供養始めた花城さん


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 【名護】名護市運天原区子ども会が12月23日、恒例となっている区内の市指定文化財「オランダ墓」の清掃をした。

オランダ墓は、1846年に運天港に入港し病死したフランス人船員2人が眠る。子どもたちはきれいになった墓に手を合わせた後、公民館に移動し、60年前にオランダ墓の清掃と供養を始めた花城清仁さん(91)からそのきっかけを聞いた。
 花城さんは戦争で多くの仲間が戦死するのを目の当たりにし、一緒に帰ることができなかったことを心残りに感じていたという。その思いが、オランダ墓に眠るフランス人2人と、帰りを待ち続けたであろう家族や友人たちへの思いと重なり、オランダ墓の清掃と供養を始めた。終戦直後の墓は荒れていて、10年かけてようやく整えたという。
 花城さんは「ウチナーンチュだろうと西洋人だろうと関係ない。人はみな人だ」と語り掛けた。今でもクリスマスにはオランダ墓を訪れ手を合わせる花城さん。「子ども会が清掃を引き継いでくれてうれしい。将来、子どもや孫ができたらオランダ墓のことを伝えてほしい」と笑顔で子どもたちを見詰めていた。