情感、速弾きが印象的 琉球箏曲興陽会、伸びやかな歌声で魅了


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息の合った斉唱を披露する琉球箏曲興陽会の会員ら=浦添市の国立劇場おきなわ

 琉球箏曲興陽会(安里ヒロ子会長)が出演した県伝統芸能公演がこのほど、浦添市の国立劇場おきなわで行われた。中堅・若手の会員が中心となって出演し、斉唱や独唱、舞踊地謡など9題で多彩に魅了した。箏奏者が歌う演目を多く取り入れ、伸びやかな歌声を響かせた。

 舞踊地謡で、箏演奏者の歌を披露。通常は地謡の中心となる歌三線を入れない中で歌・箏による地謡は新鮮に感じた。情感を込めた女性の思いを歌う「かせかけ」、速弾きでリズミカルに歌う「谷茶前」などが印象的だった。
 独唱は仲風節(二揚)を仲大千咲、述懐節(二揚)を米須弥生が披露。「八重山育ち」は小浜節、しょんかね、とぅばらーまで独唱する一人一人へ交互に照明をあて、厚みのある歌声で魅了。男女の掛け合いを披露する踊り手との呼吸も合わせた。
 最後の舞踊「加那ヨー天川」は三線が歌を担当し、にぎやかに幕を閉じた。ただ、歌・箏の地謡が印象的な舞台だけに、欲を言えば締めくくりも箏奏者の歌を聞きたかったとも感じた。
(古堅一樹)