首長ら地位協定改定訴え 米兵凶悪犯罪 不逮捕処理


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 日米地位協定の運用改善で凶悪犯罪について起訴前の身柄引き渡しが可能となったにもかかわらず、女性暴行事件で摘発された米兵の8割強が逮捕されないなど運用改善が徹底されていないことが浮き彫りとなったことを受け、米軍人絡みの凶悪犯罪が頻発する本島中北部の基地所在市町村の首長らは「運用改善では限界がある」と強調し、一様に日米地位協定の改定を訴えた。

 石嶺伝実読谷村長は2009年11月に村内で起きた米陸軍兵による男性ひき逃げ死亡事件に言及。「当時も(容疑者の)身柄引き渡しができず、徹底した捜査がされなかった。犯罪者は当然、その国のルールで取り扱われるべきだ」と疑問を呈した。
 本島中部では昨年10月、米海軍兵による集団女性暴行致傷事件が発生。東門美津子沖縄市長は小野寺五典防衛相の来県にも触れ「知事をはじめ、県民が求めているのは地位協定の抜本改定だ。地元の声を聞きに来るのなら、その声を反映させなくては意味がない」と強調した。
 北谷町には、基地外居住者として約4千人の米軍関係者が暮らす。野国昌春町長は「米軍の好意や運用改善での対処では限界がある。(今後)漠然とした不安が的中する前に抜本的改定が必要だ」と語気を強めた。
 稲嶺進名護市長は「運用改善では限界がある。地位協定を変えるしかない」と強調し「沖縄だけの話ではない。全国民が一緒に怒らないといけない」と求めた。
 儀武剛金武町長も運用改善では不十分だと指摘。米国からの信頼回復を掲げる安倍政権に対し、「今がそうか分からないが、真に信頼し合える関係なら、不平等な地位協定の改善を率直に要求するべきだ」と批判した。