先島の空自強化鮮明 防衛相初来県


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与世田兼稔、上原良幸両副知事と会談する小野寺五典防衛相(左)=16日午後1時35分ごろ、県庁

 就任後初めて来県した小野寺五典防衛相は16日、県庁で、病気療養中の仲井真弘多知事に代わり上原良幸、与世田兼稔両副知事と面談した。

米軍普天間飛行場の県外移設を求めた与世田副知事に対し、小野寺氏は「負担軽減をするのが政権の重要な役割とすれば、沖縄の気持ちをしっかりと受け止めることからスタートすることだと思う」と述べるにとどめた。航空自衛隊那覇基地の視察後には、記者団に、尖閣諸島周辺での領海領空侵犯に対する監視態勢強化について「先島諸島を含めてどのような航空態勢をとるか調査研究が必要だと思っている」と述べ、下地島などへのF15戦闘機の常駐については明言しなかったが、先島での空自強化方針を鮮明にした。
 小野寺氏は同日、普天間飛行場を嘉数高台から視察し、基地所在市町村長と懇談。また、普天間飛行場の移設容認派とされる辺野古、豊原区長らとも那覇市内で内密に面談した。
 空自那覇基地に展開している同三沢基地所属のE2C早期警戒機について小野寺氏は「南西海域には那覇基地が地理的に近く、今後一部を展開して即応性をもって警戒対策ができるような態勢をつくるための予算を検討していきたい」との方針を示した。
 両副知事との面談では、普天間に配備された垂直離着陸機MV22オスプレイの県外への訓練移転について「森本敏前防衛相との引き継ぎでも、前大臣が約束したことについてはしっかり受け止めると話した」と述べ、民主党政権時に示した訓練移転は引き継いで検討する考えを示した。
 オスプレイが人口密集地を避けるなどの日米合意に違反する飛行を繰り返していることに「(県から指摘された違反飛行を)1件1件、省内で精査して日米の約束に照らし合わせて確認するよう指示を出している」と述べ、運用実態を調査するとした。面談後、記者団に辺野古沖の埋め立て申請の時期について問われたことには「まだ何も決まっていない」と答えた。
 与世田副知事は面談で普天間移設について「地元の理解が得られない移設は事実上不可能だと機会あるごとに言っている」と述べ、県外移設と返還を要請したほか、オスプレイ配備の見直しも求めた。