「普天間」もっと関心を 岐阜県の古田さん、通信紙発行


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 岐阜県に住む古田栄子さん(70)が個人として周囲の人に読んでもらう通信紙「普天間問題の今」を昨年から定期的に発行している。米軍普天間飛行場の問題を中心に沖縄の新聞や書籍から古田さんが関心を持った情報をまとめたもので、2012年2月11日からスタートし、1年間で50号、1月末までに56号を発行している。

古田さんは「こちらの新聞では沖縄のことが出ないので、問題意識がなく流されていく。こちらの人にもきちんと沖縄の現状を伝えると『もっと知りたい』と言われる」と述べ、反響があることに手応えを感じている。
 岐阜県で高校の教員だった古田さんは01年から3年間、フリースクール勤務のため沖縄県で暮らした。沖縄の基地問題にも関心を持ち「あらゆる基地の建設・強化に反対するネットワーク」(反基地ネット)にも参加している。岐阜県に戻ってからも沖縄に対する関心や交流は持ち続けていた。
 沖縄の事情に詳しい古田さんは岐阜県のさまざまな会合で沖縄問題について発言を求められる機会があり「自分の考えをまとめるため」との思いで通信紙の作成を思い立った。
 01年から13年間継続して購読している琉球新報の紙面や沖縄関連の書籍などから「気まぐれで、書きたいと思ったこと」を引用しつつ、古田さん自身の言葉を折り込む形式でA4版用紙1枚にまとめている。
 取り上げる内容は普天間問題を基軸に、沖縄の文化、歴史、自然など多様なもの。カラーの写真や図表なども取り入れている。
 垂直離着陸輸送機MV22オスプレイが普天間で飛行訓練を開始した内容を伝える44号(12年10月5日)では、抗議活動する友人の姿を伝え「申し訳ない、駆けつけたい思いです。こちらのメディアではほとんど報じられませんが、連日3つのゲート前では、市民と、米軍が依頼した警察との間で激しい攻防がつづいています」とつづっている。
 毎号70枚ほど印刷し、郵送や手渡しで知人に送っている。岐阜県内の病院でファイルがつづられるなど、日常的に読まれている場所もある。
 常に沖縄への関心を注ぐ古田さんは「沖縄抜きの生活はやりきれない。私も沖縄から希望を持つ力を得ている。これからもやっていきたい」と述べ、岐阜県で沖縄問題の情報発信を続ける決意でいる。

古田さんが発行した「普天間問題の今」
古田栄子さん