米国防費強制削減「太平洋展開に影響」 軍幹部、上院で証言


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 【米ワシントン12日=松堂秀樹本紙特派員】デンプシー統合参謀本部議長は12日、上院軍事委員会の公聴会に出席し、国防費の強制削減が3月から実施された場合、「国家の防衛戦略を危険にさらす」と証言し、議会に対し強制削減の回避に合意するよう求めた。

米海軍高官は公聴会後、記者団に対し国防費の強制削減で海軍力の6割をアジア太平洋地域に集中させる計画に遅れが生じ、太平洋での演習参加も減らさざるを得ないとの見通しを示した。
 米軍側は議会に提出した書面証言で、普天間飛行場にも配備されている海兵隊の垂直離着陸輸送機MV22オスプレイの調達数大幅減や、最新鋭ステルス戦闘機F35の開発費が削減されることになると指摘し、強制削減の見直しを求めた。米軍全体でオスプレイの調達数が減らされる可能性は高いが、海兵隊は現段階で今夏に新たにオスプレイ12機を普天間飛行場に配備する方針を変えていない。
 デンプシー氏は国防費の強制削減が実施された場合について「世界の安全保障に対する米国の関与を弱め、米国の国益を守るための取り組みが後手に回る」と再考を求めた。
 また、海兵隊の準機関紙「マリンコータイムズ」は12日付で海兵隊プログラム資源担当のウィスラー副司令官が「海兵隊員を現在の20万2100人から18万2100人に兵員を減らす計画も見直しの対象になる」と述べたことを伝え、国防費の強制削減で兵員数がさらに減らされるとの見通しを示した。強制削減は米政府の財政再建の最終的な手段。民主党と共和党が2月中に財政再建案に合意できなければ、2013~21会計年度で約5000億ドル(約47兆円)が自動的に強制削減される。