鬼塚、初舞台で栄冠 第21回おきなわマラソン


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 第21回おきなわマラソン(主催・中部広域市町村圏事務組合、琉球新報社、沖縄テレビ放送、沖縄陸上競技協会、県総合運動公園指定管理者トラステック、共催・県高校体育連盟)は17日、沖縄市の県総合運動公園陸上競技場を発着点としたうるま市、嘉手納町、北谷町、北中城村の5市町村を巡る42・195キロで行われた。

競技の部男子は初出場の鬼塚智徳(佐賀県)が2時間23分58秒で初の頂点に立った。同女子は佐々木寿子(東京都)が3時間3分35秒で初出場初優勝を飾った。市民マラソンの部は風見尚(愛知県)が2時間26分3秒、同女子はバーニー・アックスマン(米国)が3時間5分12秒で制した。

◆鬼塚 後半勝負 狙い通り
 冬晴れの下、ガッツポーズでゴールテープを切ったのは、九電工・鬼塚智徳(佐賀)。後半からピッチを上げる作戦が功を奏し、初出場・初優勝を飾った。
 立ち上がりから先頭集団に入り、冷静にレースを見詰めた。24キロをすぎた給水地点で2位の伊藤達志(栃木)が勝負を仕掛けてからも、淡々と先頭集団をキープした。
 勝負が決まったのは、約27キロ地点。トップを走っていた伊藤がペースを落とした瞬間を、鬼塚は見逃さなかった。すかさずピッチを上げトップに躍り出ると、嘉手納基地の第2ゲートに入る所では、後ろに続く仲間孝大(千葉)と風見尚(愛知)に約100メートルの差をつけた。
 平らな道が続く嘉手納基地内でさらに差を広げ、33キロの球陽高校前に差し掛かると、後続が見えなくなるほど大差がついた。高低差の激しい終盤も、ペースを乱すことなく快走。「足音も聞こえなくなった」と、後方を確認することもなく35キロ地点で優勝を確信すると、九州各地から応援に駆け付けた九電工社員約60人の声援の中、フィニッシュを遂げた。
 「優勝を目指していたのでほっとした」と、安堵(あんど)の表情を浮かべた新王者。「プレッシャーもあったけど、大応援団の前で勝てて良かった」と、心地よい疲労感に浸った。(仲本文子)

◆佐々木 粘って逆転/難コースに集中切らさず
 女子は大会初出場の佐々木寿子(東京)が3時間3分35秒のトップでゴール。アップダウンのあるコースが「厳しかった」と振り返りながら、「諦めず走ることができた。集中力が切れることなく走れた」と笑みを見せた。
 前半は抑え気味に走ったが、「体が軽かった」という。30キロ手前までは、バーニー・アックスマン(米国)の背中を見ながらのレース。「このままついていこうかと思ったが、相手のペースが落ちてきた」。嘉手納基地に入った30キロ付近、コースが平たんになった所でペースを上げて首位に立つと、そのまま逃げ切った。
 順位のことはあまり考えず、自分のペースを守りながら走った。3時間以内という目標にはわずかに届かなかったが、コースからして「これなら上出来」と納得。
 今回は昨年11月の那須塩原ハーフ(栃木)で優勝しての招待出場。今シーズン、横浜国際女子(11月)、大阪国際女子(1月)に続く3度目のフルマラソンになる。横浜では2時間55分と自己ベストを更新。「いいペースで練習が積めた」という。
 普段は勤務する会社の同好会で走る、43歳の市民ランナー。「マラソンは年齢ではない。モチベーションがあればやり続けられる」と話す。次は4月のかすみがうらマラソン(茨城)に出場。「1秒でもタイムを縮めたい」と目標を挙げた。(宮里努)

27キロ付近の水を含んだスポンジを取るポイントで一気に勝負を仕掛ける鬼塚智徳(佐賀)=17日、沖縄市八重島(花城太撮影)
女子トップでゴールする佐々木寿子=17日、県総合運動公園陸上競技場(金良孝矢撮影)