米国防総省、基地閉鎖提案へ 欧米中心、辺野古は堅持


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 【米ワシントン18日=松堂秀樹本紙特派員】米国防総省が国防費削減策の一環として、2014会計年度(13年10月~14年9月)の予算案で基地再編・閉鎖(BRAC)案を議会に提案する方向で準備を進めている。

米軍準機関紙の星条旗紙などが18日までに報じた。閉鎖が提案されるのは米本土や欧州の基地が中心になるとみられる。普天間飛行場について国防総省は本紙の取材に対し「すみやかに移設に向けた作業を進めるべきだ」と強調。現段階で名護市辺野古に移設後に閉鎖するとした日米合意を堅持する方針を変えておらず、沖縄の負担軽減につながるかは不透明だ。
 米政府は財政再建の一環として国防費や社会保障の見直しを進めているが、与野党の対立で合意の見通しが立っていない。民主党と共和党が2月中に財政再建案に合意できなければ、13~21会計年度で約5千億ドル(約47兆円)の国防費が自動的に削減される。
 星条旗紙などによると、パネッタ長官は6日、国防総省で少数の記者団に対し、「現在の予算環境では、基地の閉鎖が合理的だ」と強調。12年1月に基地閉鎖を議会に提案した際に与野党の議員に却下されたことを明らかにし「戦略を窓から放り投げることになる」と国防費の強制削減に強い危機感を示した。
 パネッタ長官は同年8月の講演でも「不必要な基地を維持することこそが軍の空洞化を意味している」と述べ、米軍基地の再編・閉鎖に意欲を示したが、議会側が雇用が失われることなど地域への影響を理由に反発。米政府と議会の間で膠着(こうちゃく)状態が続いている。