意見陳述権が焦点 アセスやり直し訴訟きょう判決


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 米軍普天間飛行場代替施設建設に伴う名護市辺野古のキャンプ・シュワブ沿岸部での環境影響評価(アセスメント)手続きに不備があるとして、県内外の622人が国にアセスの方法書や準備書のやり直しと損害賠償を求めた訴訟の判決が20日午後、那覇地裁(酒井良介裁判長)で言い渡される。

 判決では、アセス手続きの中で住民の意見を述べる権利があるかどうかが焦点となる。
 判決によっては公有水面埋立法に基づき、沖縄防衛局が県知事に申請する埋め立て承認手続きに影響を与える可能性もある。
 住民側は環境影響評価法で「方法書や準備書に対して住民が意見を述べる権利が与えられている」と主張。その上で、今回のアセス手続きは法的根拠のない事前調査を実施し、環境を破壊したと批判している。その調査に基づき作成された方法書や準備書では資料の追加や修正を繰り返し、住民の意見を述べる権利が侵害されたことは違法として、アセス手続きのやり直しを訴えている。
 国側は、環境影響評価法に定める意見を述べる機会について「国民一般に期待したもので、個人の権利は認められない」と主張。法律で住民が訴えを起こす規定はなく、今回の訴えは「不適法」として却下を求めている。損害賠償については棄却を求めている。

<用語>環境影響評価(アセスメント)
 大規模な施設建設に当たり、開発事業が環境にどのような影響を及ぼすかを国や企業などの事業者自らが調査、予測、評価を行う制度。飛行場や埋め立て、ダムなどの事業に義務付けられている。その結果を公表して国民や地方自治体などから意見を聴き、それを踏まえ事業計画を作る。環境影響評価には方法書、準備書、評価書と段階があり、方法書と準備書までは知事だけでなく住民からも意見を集める。これらを踏まえ、環境保全などをまとめて評価書となる。評価書には住民は意見を述べられず、知事だけが意見を述べる。その後、評価書を補正して事業実施となる。